革命は「家」を否定する。 
ソ連の指導者たちが夢見たのはユートピアか?ディストピアか?

私たちはどのような住宅を望むべきだろうか。答えはロシアにあるかもしれない。(三宅香帆・評論家) 
──『ダ・ヴィンチ』2023年12月号

本書はロシアの事例を通じて、家、家族とは何か、人々が平和に幸福に暮らすことができる社会とはいかなるものかという普遍的な問いを投げかけている。(鴻野わか菜・ロシア文学者) 
──『日本経済新聞』2023年11月18日号

建築を映画のように読み、映画を建築のように眺めるその手法は、映画に通じた建築史家ならではのものだろう。(長﨑励朗・社会学者) 
──『産経新聞』2023年12月3日号

本書には、21世紀を20年も過ぎた私たちが、いまなお実感をもって読むべき側面も多分にふくまれている。(市川紘司・建築史家) 
──「建築討論」

本書の登場によって、巨大な空白が一挙に埋められた感を深くした。(原武史・政治学者) 
──共同通信

内容紹介

革命は「家」を否定する──社会主義の理念を実体化すべく生み出された、ソビエト/ロシアの建築の数々。しかしその実態は当初の計画からかけ離れ、狭小で劣悪な住宅環境と、建てられることのない紙上の「亡霊建築」に分離していく。理想と現実に引き裂かれた建築から見える、大国ロアが抱える矛盾とはなにか。そしてそこで生きる人びとの姿はどのようなものだったのか。webゲンロンの人気連載「亡霊建築論」と「革命と住宅」が大幅な加筆のうえ一冊に。

目 次

はじめに ソ連建築の二つの相


革命と住宅

1 ドム・コムーナ 社会主義的住まいの実験
2 コムナルカ 社会主義住宅のリアル
3 スターリン住宅 新しい階級の出現とエリートのための家
4 フルシチョーフカ ソ連型団地の登場
5 ブレジネフカ ソ連型団地の成熟と、社会主義住宅最後の実験


亡霊建築論

6 ロシア構成主義建築とアンビルトのプログラム
7 ソ連映画のなかの建築、あるいは白昼の亡霊
8 スターリンのソヴィエト宮殿、あるいは増殖する亡霊
9 フルシチョフのソヴィエト宮殿、あるいは透明なガラスの不透明性について
10 ブロツキーとウトキンの建築博物館、あるいは建築の墓所
11 ガラスのユートピアとその亡霊
おわりに
あとがき


ソ連社会主義住宅年表
本書に登場する建築家
初出一覧
参考文献
図版出典
参考映像


※本書の電子書籍版の刊行はございません。あらかじめご了承ください

著者プロフィール

本田 晃子(Akiko Honda)


1979年岡山県生まれ。岡山大学社会文化科学研究科准教授。 東京大学大学院総合文化研究科修了。博士(学術)。 専門はロシア建築史、表象文化論。著書に『天体建築論』(2014年)、『都市を上映せよ』(2022年)など。