ゲンロンβ50|編集長=東浩紀

2020年6月26日[金]発行

  • 1|田中功起 日付のあるノート、もしくは日記のようなもの 第1回 「人生について考えると抽象が気になってくる」4月29日から6月10日 #37
    アーティストの田中功起さんによる、作品と実人生のかかわりを書く新連載です。コロナ禍によって世界が抽象的な言葉で覆われるなか、田中さんは「抽象」という言葉自体を語り直していきます。論考の最後に出会った「具体的な生」とは?
  • 2|外山恒一+東浩紀 コロナ時代に政治的自由は可能なのか(2) 革命はリアルから生まれる #37
    前篇が『ゲンロンα』に掲載され大きな反響を呼んだ、革命家の外山恒一さんと東浩紀の対談の後篇を掲載。コロナ禍を受けた、政府と人民による同調圧力の強まりから、自由を守るには。「実効支配地域」の重要性が語られます。
  • 3|山森みか イスラエルにおけるコロナ禍 ユダヤ教超正統派と世俗派のあいだで #37
    『ゲンロンα』で公開されて好評を博した、コロナ禍のイスラエルの状況が詳細に伝えられたエッセイです。ユダヤ教の派閥間の立場の違いや、国家と宗教が結びついたイスラエルならではの政府の対応が語られます。再録にあたり、さらに最新のイスラエルの状況も付記していただきました。
  • 4|春木晶子 北のセーフイメージ(2) 多重化するアイヌの肖像 #37
    江戸時代、アイヌの絵が人々の「安心」を導いていたと指摘する春木さんの論考。三回の分割掲載の第二回は、松前藩での蜂起の鎮圧に協力したアイヌの肖像画《夷酋列像》を分析します。和漢の神話のモチーフを巧みに利用し、アイヌに鬼門守護を担わせた意図とは。
  • 5|さやわか 愛について――符合の現代文化論 第5回 少女漫画と齟齬の戦略(3) #37
    サブカルチャーから「愛」について考えるさやわかさんの連載。少女漫画シリーズラストの今回は、少女漫画最多の刊行部数を誇る『花より男子』をとりあげます。主人公、つくしの恋愛の背後にはバブル崩壊があった?「お約束」にとどまらないその展開を分析します。
  • 6|星野博美 世界は五反田から始まった 第18回 エッセンシャルワーカー #37
    「エッセンシャルワーカー」という言葉に違和感を感じた星野さん。必要不可欠労働者を意味するこの言葉から、コロナ禍の現在と戦時中の五反田の生活を考えます。「不要不急」という言葉は当時も存在した!驚きの共通点をぜひお読みください。
  • 7|琴柱遥 『枝角の冠』 第3回 ゲンロンSF新人賞受賞作――冒頭部分 #37
    第3回ゲンロンSF新人賞に輝いた琴柱遥さんの受賞作『枝角の冠』の冒頭部分を特別公開いたします。多くの女性とただひとりの「父」が暮らす群れのなかでの、少女のある決断を描きます。大森望さん、飛浩隆さん、東浩紀の審査員全員一致での受賞作をお楽しみください。
  • 8|藤城嘘 五反田アトリエから37 コロナ禍に振り返る五反田アトリエでの作品たち――過去の展示企画より #37
    五反田アトリエでは6月まで展覧会の開催を自粛していました。そこで、アトリエで過去に開催された過去の展示から、今こそ見返したい作品を藤城さんがピックアップして紹介。コロナ以降から見た作品は、意味が違って見えるかもしれません。ぜひ振り返ってみてください。

表紙写真:田中功起さんの新連載で触れられている、ロッテルダムでのプロジェクトの様子。人々が窓の外を眺めている理由は、ぜひ本文で確かめてほしい。 Project title:Precarious Tasks #6:Going up to a city building taller than 16.7m Date:April 19-20, 2013 Photo courtesy of the artist, Vitamin Creative Space, Guangzhou and Aoyama Meguro, Tokyo.

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