2022年1月26日[水]発行
チベット語・チベット文化研究者の星泉さんに、ゲンロンSF文庫006『虹霓のかたがわ』の解説をいただきました。近未来のチベットを描く異色のSFは、伝統をどう昇華させたのか。同地の文化を紹介するエッセイとしても大変魅力的な文章です。
戦前・戦中の日本には、イスラーム文学の伝統が存在した――忘却されたその系譜を継ぐ作品として、中田考さんのライトノベル『俺の妹がカリフなわけがない!』を読み解きます。同書が中田さんの思想の「ひとつの達成」である理由とは。
ソ連時代に構想された住宅の数々をたどる連載。革命の理念に反し「一家族、一住居」を実現させるべく大量生産された新型団地「フルシチョーフカ」。その普及が市民の意識にもたらした「所有」の萌芽を描きます。
スハルト政権下のインドネシアの娯楽雑誌『アクトゥイル』。「若者」という層自体を生み出した同誌は、なぜ凋落し、後の時代にどう影響を与えたのか。往時から雑誌が滅びつつある現在まで、「若者文化」と政治の緊張関係を振り返ります。
表紙写真:中国青海省黄南チベット族自治州ツェコ県の、牧畜民の暮らす草原での舞。数日間にわたり行われる法要のクライマックスとして、携わった在家行者たちが総出で舞い、供物を破棄する。この日には続いて村人たちによる競馬も行われた。 撮影=星泉
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