ゲンロンβ74|編集長=東浩紀

2022年6月24日[金]発行

  • 1|呉座勇一+辻田真佐憲+與那覇潤 いまこそ「史論家」が必要だ──百田尚樹、つくる会、歴史共同研究再検証(後篇) #37
    共同研究を行なってもすれ違ってしまう日中韓の歴史認識。歴史教育と研究のちがい、中間層を取りこむための歴史記述──歴史を取りまく現在形の問題を縦横無尽に論じる濃密な鼎談です。
  • 2|豊田有 ひろがりアジア 第10回 ベニガオザルの社会から考える「平和」 #37
    タイで霊長類学研究を行う豊田さんは、サルの社会にも専制主義のものと平等主義のものがあるといいます。それぞれの社会のかたちと、そこでのサルの争いと仲直りをとおして、人間社会の平和を考えます。
  • 3|安藤礼二 シャーマニズム、連帯にして抵抗の原理──島村一平『憑依と抵抗』評 #37
    現代モンゴルで増え続けるシャーマンを論じた、島村一平『憑依と抵抗』の書評。安藤さんは、折口信夫や井筒俊彦、出口王仁三郎を経由しながら、「韻を踏む身体技法」である憑依=言語に根源的な可能性を見出します。
  • 4|亀山隆彦 シラスと私 第2回 「心術練磨の工夫」の場へ──上七軒文庫チャンネル in シラスの理念 #37
    なぜ亀山さんは人文学の私塾を始めたのか? 公的な機関のほかに、多様な教育と研究の場があった江戸時代をヒントに、人文学の危機を乗り越える方法を語ります。チャンネル開設者が語るシラス、第二弾です。
  • 5|田中功起 日付のあるノート、もしくは日記のようなもの 第13回 手放すこと──5月10日から6月23日 #37
    アーティストの出自や感情から切り離されて、論理で成立するはずのコンセプチュアル・アート。「ミニマル/コンセプチュアル」展で感じた人間くささから、何度もできごとを語り直すことの大切さ、いくつもの物語が共存する豊かさを論じます。

表紙写真:オナガザル科マカク属ベニガオザルのオスがあくびをしているところ。ベニガオザルの社会において、あくびは、オスが犬歯を他の個体に見せつけるる機能があるのではないかといわれている。今号掲載の豊田有氏の論考では、ベニガオザルのさまざまな和解行動から、人間社会における「平和」の維持について考えている。撮影=豊田有

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