ゲンロンβ75|編集長=東浩紀

2022年7月31日[日]発行

  • 1|本田晃子 フェイクVS.フィクション──『ドンバス』が描く寓話 #37
    セルゲイ・ロズニツァ監督がウクライナ東部のロシア軍占領地域を描いた映画『ドンバス』。フェイク・ニュースの撮影風景から始まる同作での虚構と現実の関係を、グロテスクや不条理といった要素にも注目しながら論じます。
  • 2|さやわか 愛について──符合の現代文化論 番外編 意味はどこに宿るのか──ゲルハルト・リヒター展評 #37
    国立新美術館で開催中の「ゲルハルト・リヒター展」。90歳をむかえたリヒターのキャリアの総決算ともいえる展覧会ですが、さやわかさんは歴史よりもむしろ現代性を感じたといいます。リヒターを読みとくことで、現代のメディア環境をあぶりだします。
  • 3|村山久美子 つながりロシア 第20回 ロシア・バレエ~ソ連時代から現在までの歩み #37
    古典バレエの王国ともいわれるロシアですが、20世紀以降もさまざまな実験が行われてきました。アヴァンギャルドから反動、雪解けと、時代の荒波のなかで創造されてきたロシア・バレエに村山さんが光を当てます。
  • 4|河野至恩 記憶とバーチャルのベルリン 第6回 2022年のベルリンと鷗外(前篇) #37
    作家個人への関心から距離をおいた文学研究である都市論。その格好の題材になってきたのが森鴎外の作品です。没後100年をむかえた森鴎外とコロナ禍を乗りこえたベルリンの森鴎外記念館を描いたエッセイ。
  • 5|プラープダー・ユン ベースメント・ムーン 第6回 #37
    ネットワークから切り離された孤独が最高の贅沢だという2069年のタイ。任務のため、タイのホテルに滞在する虚人ヤーニンと、彼女にインストールされた写識ムル。二人の意識と記憶が交差する、連載小説第6話。

表紙写真:ゲンロンからの新刊2冊の書影。星野博美著『世界は五反田から始まった』とユク・ホイ著『中国における技術への問い──宇宙技芸試論』(伊勢康平訳)。前者は五反田のいち家族の物語を通じて東京の歴史のあらたな一面を照らし出すエッセイ。後者は中国という「地域性」を起点に新しい世界史への糸口を開く学術書。ジャンルや内容こそ違えど、どちらもローカルなものやミクロなものが開く豊かな回路に気づかせてくれる。撮影=編集部

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