榛見あきる『虹霓のかたがわ』(ゲンロンSF文庫006)発売!

シェア
ゲンロンα 2022年1月17日 配信
 株式会社ゲンロンの電子書籍レーベル「ゲンロンSF文庫」より、同レーベル6冊目となる、榛見あきる『虹霓のかたがわ』が発売されました。
 同書は〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉にて第4回ゲンロンSF新人賞(選考委員:菅浩江、伊藤靖、大森望、東浩紀)に輝いた受賞作を、大幅な改稿のうえ電子書籍化したものです。『ゲンロン12』に掲載された大森望さんによる解題に加え、単行本化にあたりチベット語・チベット文学研究者の星泉さんによる解説を収録しています。
 ゲンロンαでは、同書の発売を記念し、星さんによる解説「『声』がつなぐ信仰とと身体」を無料で公開しています。ぜひ書籍とあわせてお楽しみください。
 『虹霓のかたがわ』は、ゲンロンショップおよびkindleストアでご購入いただけます。


榛見あきる『虹霓のかたがわ』(ゲンロンSF文庫006)
 
 


魅力的な異界、迫るダンス描写、考え抜かれた「身体というもの」。
この設定あってのこの話であり、この話だからこそのこの思想。榛見あきるは「物語」の力を存分に発揮した。
さあ、隻手の声を聞け。
──菅浩江


エンターテインメントであると同時に、チベット文化への深い洞察と敬意をもって描かれた作品であり、長い間政治的抑圧状態にあるチベットをしっかりと見据え、そのような状況下でも自らの文化を未来へと継承していこうとする人々の、真摯な姿を描いた作品でもある。
ペーマが羅刹女のアヴァターと一体となって舞う姿は、チベットという土地に根ざした信仰のあり方を象徴しているとも言えるのである。
──星泉(「解説」より)


ルビを多用したサイバーパンク的な文体とエキゾチックな舞台、仏教文化とダンスのディテールが融合し、魅惑的な小説世界を構築する。
緻密な描写力で新たな美の創造にチャレンジした作品。
──大森望(「解題」より)


街を拡張現実で覆い、観光都市と化した近未来のチベット。少年僧ペーマは、かつて同地を襲った大火で左手を失って以来、どこか周囲から隔絶された感覚を抱いていた。その欠落を埋めるため、彼はひそかにダンス教室に通い、そこで貸与された「羅刹女」のアバターを身にまとってストリートで踊り続ける。だがある日、そのアバターのライセンスが僧院主催のダンスオーディションの景品となり、彼は使用権利を剥奪されてしまう。失われた身体を取り戻すため、オーディションへの参加を決意したペーマ。その果てに彼が垣間見た、チベット仏教の理想たる『虹の身体』の秘奥とは──。
 

著者プロフィール
榛見あきる(はるみ・あきる)
1992年生。ゲンロンSF講座第四期受講生、第5期聴講生。第4回「ゲンロンSF新人賞」受賞。
第4回ゲンロンSF新人賞受賞作

ゲンロンSF文庫006
『虹霓のかたがわ』
榛見あきる

¥440(税込)|電子書籍のみ|2022/1/15刊行

    コメントを残すにはログインしてください。