思想【 #ゲンロン友の声】最後...

【 #ゲンロン友の声】最後の更新になるかもしれないのでクラス50に申し込みました

 今年の3月に胃がんが見つかり、ステージ4で余命1~2年と宣告されました。これが最後の更新になるかもしれないので、思い切ってクラス50に申し込みました。これからも東さんとゲンロンが、日本の言論空間をより面白くしてくれることを期待しております。
(宮城県, 40代男性, 友の会会員)

 昨年の更新時、このように書いていただいた会員の方がいらっしゃいました。その方が昨年末亡くなってしまいました。ご遺族の方より連絡を受けて、知りました。 その会員の方は、ツイッターid @lettuce1917 さんです。lettuce1917さんは、ゲンロン友の会に初年度からずっと入っていただいていました。
lettuce1917さんはツイッターのアクティブなユーザーさんでした。ぼくもいくどかやりとりがありました。友の会の初期のころは、ぼくのフォロワーも少なく、比較的目立ったフォロワーさんだったという記憶があります。だからぼくの古くからのフォロワーさんには、lettuce1917というidに記憶のある方がいるかもしれません。lettuce1917さんのアカウントはいまも存在しています。ログをたどると、宮城県で震災に遭われたこともわかります。
ゲンロン友の会は、会員が2000人ほどいるので、連絡がつかなくなる方が毎年一定数いらっしゃいます。それでも、lettuce1917さんははぼくとほぼ同じ年齢の方なので(実際にそうなのですが、会員情報と照合して知るまえにもツイートの印象からもそう感じていました)、虚をつかれました。lettuce1917さんは「これが最後の更新になるかもしれないので、思い切ってクラス50に申し込みました」と書かれました。それからわずか9ヶ月で亡くなってしまうとは思ってもいませんでした。「これからも東さんとゲンロンが、日本の言論空間をより面白くしてくれることを期待しております」というお言葉、心に刻んでがんばっていきたいと思います。昨年末に出版された『ゲンロン4』には、lettuce1917さんのお名前が支援者欄に刻まれています。ぎりぎりお手元に届いたでしょうか。目にしていただけたら、よかったと思います。
lettuce1917さんは、昨年のいまごろは、まだ病気の存在すら知らず(あるいは告知されたばかりで)元気に生活していらっしゃいました。毎年毎年、新しく春を迎えられること、それはとても幸運なことなのだと、あらためて思います。その僥倖を無駄にしないように生きなければなりません。
lettuce1917さんのご冥福を、社員一同、心よりお祈りいたします。(東浩紀)
(投稿およびツイッターidの紹介はご遺族の方の了承を得て行っております)
+ その他の記事

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)、『忘却にあらがう』(朝日新聞出版)ほか多数。

コメント欄に表示する名前を入力してください。
コメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

ゲンロンに寄せられた質問に東浩紀とスタッフがお答えしています。
ご質問は専用フォームよりお寄せください。お待ちしております!

新着記事

ゲンロン友の声・アーカイブ

ピックアップ

NEWS

関連記事