【 #ゲンロン友の声】科学史・科学哲学と推理小説でオススメの本は?

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 こんにちは。東さんにお聞きしたいのですが。私は、最近科学哲学史を学びたいと思うのですが。初めて読むのにおすすめの本があれば教えていただけたらと思います。あと東さんは、あまりミステリについて語りませんが、法月さん以外の日本の推理小説家で好きな方はいらっしゃいますでしょうか。ちなみに法月さんの作品は、東さんが言及されたきっかけでほぼすべて読んでしまいましたw。(埼玉県, 30代男性)
 科学史科学哲学ですか。ぼくは学部生時代にかじっただけなので、下手に推薦とかするとまた専門家の方に怒られそうですが(とにかくぼくはつねに怒られているので)、それでも果敢に勧めるとすれば、やはりトーマス・クーンの『科学革命の構造』から入るのがいいのではないかと思います。日本語なら村上陽一郎が読みやすく好きでしたが、彼も毀誉褒貶があるようです。言語哲学に関心があるなら、クワインとクリプキですかね。最近の人工知能研究につながるような系譜に関心があるなら、ハワード・ガードナーの『認知革命』をお勧めします。もうひとつのミステリのほうですが、こちらこそ下手に作家名とか挙げたりするとマニアの方に怒られる、というか某SF創作講座の主任講師先生に笑われそうなので(笑)、とてもとても推薦などできません。法月綸太郎さんはほんとすばらしいですよね。『頼子のために』や『ふたたび赤い悪夢』は、ミステリに興味のないひとにも広く読んでもらいたいと思います。この答えを書いていたら、久しぶりにいろいろ読み返したくなってきました……。(東浩紀)

東浩紀

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』など。
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