【 #ゲンロン友の声】「頭がいい」とはどういうことでしょうか?

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 東さんは、「人は頭がよくないとダメだ。だけど、頭がよければ、どんな人でもある程度信頼する」という趣旨のことを時々仰います。ここで質問なんですが、ここでいう”頭がいい“の定義とはなんでしょうか?また、人が頭がよくなるにはどうすればいいのでしょうか?お答えいただけると嬉しいです。(長野県・10代・男性・友の会非会員)
 頭がいいという判断は、コミュニケーションの場ではじめて出てくることです。だから状況を離れた一般的条件で定義されるものではないと思います。ひとは、環境に応じて頭がよくなったり悪くなったりする。よい政治家や経営者や教師のもとでは、頭の悪いひとがどんどん頭がよくなる。それが国が豊かになるということでもある。そのうえでいえば、頭がよくなるためには、いちおうは「頭がよくなること」に対する最低限の開かれた心持ちが大事で、そういうオープンネスがないと、状況がいくら変わっても頭が悪いままということはあると思います。ひらたくいえば、頭が固いとダメだということですね。というわけで、お答えとしては、頭がいいとは、頭が柔軟で、つねに「頭がよくなりたい」と思っているということだという結論になります。なお、質問者の方は10代ということで、もしやと思って付け加えておきますが、もし質問の趣旨が受験関係の話なのだとしたら、ひとことでいって、「頭がよいか悪いか」と大学受験の成績にはほとんどなんの関係もありません。どうみても頭が悪いひとが東大に行く例はいくらでもありますし、逆にこんなに頭がよいのにどうしてこんなに成績悪いの、というひともたくさんいます。受験はスポーツです。受験勉強に悩んでいるのであれば、頭がいいか悪いかなどは考えず、粛々と単語の暗記などに務めるべきかと思います。がんばれ。(東浩紀)

東浩紀

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』など。
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